沈黙のフライバイには、唸りました。短編集であるものの、どれも魅力的。
野尻さんは、現代~近未来の宇宙開発をテーマにすることが多いのですが、それがとてもリアルです。(別の言い方をすると超ハード)ハードSF好きには、口元がゆるむ作品が多いと言うことですが、実際の宇宙開発は厳しい状況が続いていて、これらの作品群は、宇宙開発へのエールでもあるといえるのでしょう。
その中でも「大風呂敷と蜘蛛の糸」が特にお気に入り。
ストーリーは、ふつうの女子大生が、ひょんな事から、大気圏内用の小型ロケットのコンテストに目をとめ、「大気圏内しか飛べないロケットなんてつまらないな」、「大気圏を越えられないかな?」という夢想するところから始まります。午後の授業をさぼって、どんな下駄を履かせるか考え、ハイテク素材をネットで検索し、実現可能性を見積もっていく姿は、昔のSF的表現と現代のテクノロジをうまくあわせていてオクユカシイ。
当たり前のことなのですが、ひらめきを補完するツールとしてネットの検索システムが使われていることろがSFとして、とても新鮮でした。これが野尻節なんだと・・・。
他の作品も結構おもしろいので、日本の宇宙開発とかに興味のある人は、一足先に未来の宇宙開発を体験する意味でも読んでみるといいかもしれません。
自分の中での評価:4:普通(5段階中)
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