ハードSFではないのですが、最近のSFのなかでは感動作です。各賞総なめな理由もうなずけます。「空にふれた少女」がよいとされていますが、私も非常に気に入りました。 あらすじは、文明に侵されてしまったアフリカの種族キユク族の末裔コリバが、連邦の力をかりて、ある惑星に、もう一度、キユク族の楽園を作ろうとします。伝統を重んじ、科学による変化を一切受け入れさせないようにしようと努力していきますが、はたして、「変化しない文化」は実在するのでしょうか?コリバやその楽園の人々の葛藤が、文学的に表現されていて、とても美しい作品です。
2010年11月27日土曜日
キリンヤガ
ハードSFではないのですが、最近のSFのなかでは感動作です。各賞総なめな理由もうなずけます。「空にふれた少女」がよいとされていますが、私も非常に気に入りました。 あらすじは、文明に侵されてしまったアフリカの種族キユク族の末裔コリバが、連邦の力をかりて、ある惑星に、もう一度、キユク族の楽園を作ろうとします。伝統を重んじ、科学による変化を一切受け入れさせないようにしようと努力していきますが、はたして、「変化しない文化」は実在するのでしょうか?コリバやその楽園の人々の葛藤が、文学的に表現されていて、とても美しい作品です。
2010年11月26日金曜日
リメイク
ドゥームズ・デイ・ブックのコニー・ウィリスの別のタイムマシンもの。期待大だったのだけど、大量の映画の引用があって、よくわらかんかった。昔の映画をたくさん知っている人にはいいかもしれんが、私には苦痛以外のなにものでもありません。
一点だけ気に入っているのは、『1940年代のミュージカルが「陽気で単純だった時代」を反映していたからではなく、それがありえないものだったから。』という一節。その時代を生きた人にとってのミュージカルはどこか悲しささえ感じるものだったのかもしれないですね。
ラベル:
SF小説,
お勧め度:すすめない,
書評
楽園の泉
楽園の泉 (ハヤカワ文庫SF)
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アーサー・C. クラーク
早川書房
売り上げランキング: 27213
早川書房
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軌道タワーもののはしり。軌道タワーはクラークが提案したとかなんとかいう都市伝説が。実際には、ロシアの科学者が提案したんじゃなかったっけ。しかし、軌道タワーが天空からつりさげられるものだということは一般にあまり知られていないようですね。私はスカイフックの方がすきですが。
SFとしては、すごく感動するというわけでもないんだけれど、軌道タワーの特性についてはよく理解できる。特に、宇宙船で軌道まで行く場合は、宇宙速度を出す必要があるんだけど、軌道タワーではその必要がないってところがみそではないでしょうか。
2010年9月12日日曜日
ジュブナイルはどこに消えたのか?「軌道通信」
最近、
ストーリーは「13歳の少女を通して、地球と火星の間を往復するような軌道に配置された理想社会的な小惑星宇宙船?の中の生活を描いた話」ということになる。小惑星宇宙船の中にすむ人々は、協調性に優れていて、地上の人々のような争いや、いじめがほとんどない理想的な環境にいきているように見えるのだけれど(そこらへんが理想的空想的のよう)。だけれども、ひょんなことから少女の父親(精神科医)が告白する場面がある。
「わたし自信、深くかかわっているんだからね。おまえはニホンアメリカの完璧な社員だ。わたしたちはできるかぎりの条件づけをした。そしておまえは期待通りに育ってくれた。船を離れたいなんて思うことはぜったいない。おまえが価値があると思うものは、すべてここにあり、おまえが信じていることは、すべて船をスムーズに運営することにつながっている。わたしたちには、おまえをいい人とか、かしこい人とか、親切な人にすることはできないが、ここにいたいと思わせるようにすることはできる。たのしいと思うことはすべてチームワークから得られるように条件付けることはできるんだ」
ちゃんと理想社会を形成するための動機とその方法がSFの背景としてあることに脱帽。そしてブラック(笑)。なぜ、自分の子供にまで洗脳をしなければならないのかにも、ちゃんとした理由があることも少女本人に丁寧に説明する姿があった。その回答とは、要約すると「人類が生き残るためには、父さんたちは、どんな手段でも使う」というもの。理想社会の裏側に構築された論理はとても鋭利な論理でできあがっているということを少女の視点からうまく表現していると思った。
さて、余談ではりますが、この話のながれは、「星界の戦記」に似ているなぁと思う箇所が何カ所かあり。たとえば、地球環境を破壊し尽くしてしまった地上人のことを少女は友達と「ツチブタ」と言う表現で話したりしたりしますが、この表現は私は聞いたことがありません(ひょっとして英語表現?)で、星界の戦記でもこの表現が古語としてでてきているので、うーん、星界の作者がこの話が好きだったのかなぁと想像しております。
それにしても、こういうたぐいの子供の視点でのSFって最近みないなぁ。なんでなくなっちゃったんだろうなぁ。よい作品がたくさんあったのに残念です。
を再読しました。
ストーリーは「13歳の少女を通して、地球と火星の間を往復するような軌道に配置された理想社会的な小惑星宇宙船?の中の生活を描いた話」ということになる。小惑星宇宙船の中にすむ人々は、協調性に優れていて、地上の人々のような争いや、いじめがほとんどない理想的な環境にいきているように見えるのだけれど(そこらへんが理想的空想的のよう)。だけれども、ひょんなことから少女の父親(精神科医)が告白する場面がある。
「わたし自信、深くかかわっているんだからね。おまえはニホンアメリカの完璧な社員だ。わたしたちはできるかぎりの条件づけをした。そしておまえは期待通りに育ってくれた。船を離れたいなんて思うことはぜったいない。おまえが価値があると思うものは、すべてここにあり、おまえが信じていることは、すべて船をスムーズに運営することにつながっている。わたしたちには、おまえをいい人とか、かしこい人とか、親切な人にすることはできないが、ここにいたいと思わせるようにすることはできる。たのしいと思うことはすべてチームワークから得られるように条件付けることはできるんだ」
ちゃんと理想社会を形成するための動機とその方法がSFの背景としてあることに脱帽。そしてブラック(笑)。なぜ、自分の子供にまで洗脳をしなければならないのかにも、ちゃんとした理由があることも少女本人に丁寧に説明する姿があった。その回答とは、要約すると「人類が生き残るためには、父さんたちは、どんな手段でも使う」というもの。理想社会の裏側に構築された論理はとても鋭利な論理でできあがっているということを少女の視点からうまく表現していると思った。
さて、余談ではりますが、この話のながれは、「星界の戦記」に似ているなぁと思う箇所が何カ所かあり。たとえば、地球環境を破壊し尽くしてしまった地上人のことを少女は友達と「ツチブタ」と言う表現で話したりしたりしますが、この表現は私は聞いたことがありません(ひょっとして英語表現?)で、星界の戦記でもこの表現が古語としてでてきているので、うーん、星界の作者がこの話が好きだったのかなぁと想像しております。
それにしても、こういうたぐいの子供の視点でのSFって最近みないなぁ。なんでなくなっちゃったんだろうなぁ。よい作品がたくさんあったのに残念です。
2010年9月8日水曜日
啓示空間
ハードSF+スペースオペラな作品。 ラムスクープ推進の超弩級宇宙船あり、マイクロマシンあり、人類の亜種進化あり、異星人ありの宇宙もの。ジーリークロニクルシリーズと似ているといえば似ている話。
物語は、ある辺境惑星での異星人の遺跡発掘現場から始まる。異星人たちは謎の災厄で滅んでしまっていたことが明らかになるが、その災厄とはなにかは以前不明のまま。主人公はそれを探究しようとするが、調査隊は数十年による発掘に疲れ切り、すでにいくつもの派閥に分割されていた。そして…。というところから始まり、十年スパンで話しが進んでいく。
しかし、分厚い小説の割に、内容が薄い気がしてしまう。同じ内容なら、半分くらいで書ける気がする(気がするだけかも)。作者的には驚きを設定しているつもりの展開も若干退屈に感じてしまうのは、甲殻機動隊とか、ジャパニメーションの緻密で予想を覆すドキドキに慣れてしまったからなのかもしれない。物語の終わりには結構いい感じのラストを迎えるんだけれど、プランク・ゼロ (ハヤカワ文庫 SF―ジーリー・クロニクル (1427))ならこれを短編でやっている。そこが非効率的だと感じた。
ひとつ褒められる点は、物理法則や政治体制の描写がいたってまじめで、突拍子もないワープとか、むちゃな設定が出てこないこと。全体的にキャラクターが落ち着いているのもリアリティがある。そこらへんは、プランク・ゼロ (ハヤカワ文庫 SF―ジーリー・クロニクル (1427))
のキャラよりもリアリティがある。
ちなみに、このシリーズのカズムシティ (ハヤカワ文庫SF)は超お勧め。カズムシティまで読む覚悟があるならこちらも読んでおいたほうがいい。
自分の中での評価:3:普通(5段階中)
2010年9月6日月曜日
ベントラーベントラー
SF小説書評といいながら、コミックも紹介しちゃいます。
c--powerの独断と偏見での紹介なのでご容赦ください。
最初は「もしかしたらハズレかも。でもやっぱ読みたい」みたいな感じで本屋で葛藤するほど悩んだが最後まで読み通すとハードSF好きも唸らせるできでした。
三巻で終わってしまったのがもったいない作品かも。興味のある方はぜひ三巻まで読んで欲しい作品です。すごいスケールにくらっとくるかも。
前半の話は、すごく身近な世界に、宇宙人がでーンといる感じでおもしろい。なんか、近所の宇宙人さんみたいな話。でもだんだんと話はおかしなことになっていく。
実は宇宙人は人間のことなんて相手にしていないのだ。
ただの一人の宇宙人を除いて。
小説で宇宙人とのすれ違いを描いたものは多いと思うが、こうまでに人間が馬鹿にされこけにされる話はなかなかないのではないか。
作者のSF力を感じる作品。
c--powerの独断と偏見での紹介なのでご容赦ください。
宇宙人とのコミュニケーションの失敗を描いた本作は非常にこじんまりとハードなSFを展開している。
最初は「もしかしたらハズレかも。でもやっぱ読みたい」みたいな感じで本屋で葛藤するほど悩んだが最後まで読み通すとハードSF好きも唸らせるできでした。
三巻で終わってしまったのがもったいない作品かも。興味のある方はぜひ三巻まで読んで欲しい作品です。すごいスケールにくらっとくるかも。
前半の話は、すごく身近な世界に、宇宙人がでーンといる感じでおもしろい。なんか、近所の宇宙人さんみたいな話。でもだんだんと話はおかしなことになっていく。
実は宇宙人は人間のことなんて相手にしていないのだ。
ただの一人の宇宙人を除いて。
小説で宇宙人とのすれ違いを描いたものは多いと思うが、こうまでに人間が馬鹿にされこけにされる話はなかなかないのではないか。
作者のSF力を感じる作品。
2010年9月5日日曜日
祈りの海
万物理論 (創元SF文庫)
と同じグレッグ・イーガンだが、どうやら、扱っているテーマも同じような感じ。性別(そして性)や、バイオテクノロジー、アイデンテイティ、カルトとかがキーワードになる作品がほとんど。しかも、作品の終わりはブルーな方向へ行くことが多いように感じる。やはり短編とはこういうものなのだろうか。
短編を読んだ読者からの反響で、その先を書くみたいな感じで書いているのかもしれない。
自分の中での評価:5:普通(5段階中)
太陽の簒奪者
以前に、読んだ、太陽の簒奪者。こちらは、奇想天外なナノマシンものですね。人類側の宇宙船は、さすがに性能よくなりスギですが、まあ、そこはご愛敬。つーか、宇宙戦艦ってのは笑いました。近未来の宇宙戦艦は、5人乗り、ほとんどの時間を生命維持装置のついたボックスの中で過ごし、戦闘中の膨大な情報はエージェントがさばく。核エンジンはやっぱり使い捨て。そして、実弾核兵器・・・みたいな。なんつーかチープなんですが、そこはハードSFなので仕方ないです。1機700兆円らしいですが、それでできれば安い気もします。まあ、太陽が簒奪されちゃうくらい人類の危機なので、これくらいは作っちゃうのが人類らしいです。
自分の中での評価:4:普通(5段階中)
沈黙のフライバイ
沈黙のフライバイには、唸りました。短編集であるものの、どれも魅力的。
野尻さんは、現代~近未来の宇宙開発をテーマにすることが多いのですが、それがとてもリアルです。(別の言い方をすると超ハード)ハードSF好きには、口元がゆるむ作品が多いと言うことですが、実際の宇宙開発は厳しい状況が続いていて、これらの作品群は、宇宙開発へのエールでもあるといえるのでしょう。
その中でも「大風呂敷と蜘蛛の糸」が特にお気に入り。
ストーリーは、ふつうの女子大生が、ひょんな事から、大気圏内用の小型ロケットのコンテストに目をとめ、「大気圏内しか飛べないロケットなんてつまらないな」、「大気圏を越えられないかな?」という夢想するところから始まります。午後の授業をさぼって、どんな下駄を履かせるか考え、ハイテク素材をネットで検索し、実現可能性を見積もっていく姿は、昔のSF的表現と現代のテクノロジをうまくあわせていてオクユカシイ。
当たり前のことなのですが、ひらめきを補完するツールとしてネットの検索システムが使われていることろがSFとして、とても新鮮でした。これが野尻節なんだと・・・。
他の作品も結構おもしろいので、日本の宇宙開発とかに興味のある人は、一足先に未来の宇宙開発を体験する意味でも読んでみるといいかもしれません。
自分の中での評価:4:普通(5段階中)
遺跡の声
銀河の辺境で文明の遺跡調査を行う遺跡調査員と助手の結晶生命体の物語。
堀さんのSFはいつも、淡々とした語り口で、抑揚がないような感じをうけます(笑。でもそこが、いい味なんだと思って読んでます。私はバビロニア・ウェーブ(堀 晃)のほうが好きなんですが、バビロニア・ウェーブ
の雰囲気が好きな人にはお勧めです。
自分の中での評価:3:普通(5段階中)
2010年9月2日木曜日
時砂の王
ネタばれとかあるかもしれないので注意してください。
ETと人類の存亡をかけた戦争をテーマにしたSF。ありがちなテーマなんですが、なぜか邪馬台国がメインの舞台だったりと、結構奇抜な展開のような気もします。物語の中盤からは、どんな展開があるか、続きが知りたくてたまらなくなる感じで、一気に読めました。個人的には、日本の古代って大好きなので、SF とミックスした話ときいて、なにも考えずに購入しちゃいましたが ^^。
自分の中での評価:4:お勧めできる(5段階中)
そういえば、最近、日本で出ているSFは、ETとの対決モノが結構多い気がするのですが、気のせいでしょうか。かくいう私も1つETとの対決モノを温めていたりするのですが、時代的なものなのですかね。そういうのはちょっと気になるところ。
ETと人類の存亡をかけた戦争をテーマにしたSF。ありがちなテーマなんですが、なぜか邪馬台国がメインの舞台だったりと、結構奇抜な展開のような気もします。物語の中盤からは、どんな展開があるか、続きが知りたくてたまらなくなる感じで、一気に読めました。個人的には、日本の古代って大好きなので、SF とミックスした話ときいて、なにも考えずに購入しちゃいましたが ^^。
自分の中での評価:4:お勧めできる(5段階中)
そういえば、最近、日本で出ているSFは、ETとの対決モノが結構多い気がするのですが、気のせいでしょうか。かくいう私も1つETとの対決モノを温めていたりするのですが、時代的なものなのですかね。そういうのはちょっと気になるところ。
これからSFの書評とかもこちらに書いていこうと思います。
これからSFの書評とかもこちらに書いていこうと思います。
というかそれがメインになるかもしれません。
過去に別のところで書いていた書評とかもこちらにまとめようと思います。
というかそれがメインになるかもしれません。
過去に別のところで書いていた書評とかもこちらにまとめようと思います。
シュタインズゲートげっとー
なんとなくシュタインズゲートがやりたかったのでPC版を購入。
神ゲーとのことなのですが、どうなんだろう。
どの年代で神ゲーなのか。
少しだけやってWajima Projectの黒歴史である僕と魔女と蒼い空を思いだした。あいたたた。
神ゲーとのことなのですが、どうなんだろう。
どの年代で神ゲーなのか。
少しだけやってWajima Projectの黒歴史である僕と魔女と蒼い空を思いだした。あいたたた。
2010年7月18日日曜日
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